「金利が低い銀行が一番お得」
こう思っていませんか?たしかに、金利は重要な判断材料のひとつです。
借入額が大きくなればなるほど、わずか0.1%の差でも支払う利息は大きく変わってきます。
でも──それは“融資が通る”ことが前提の話です。
実際には、「低金利だから」と選んだ銀行で審査が進まず、機会を逃したというケースが少なくありません。金利にばかり目を奪われて、“融資が実行されるかどうか”という本質を見落としてしまっているのです。
本記事の内容
・銀行ごとに違う「審査のモノサシ」
・事例】金利に惹かれて都市銀に申請→2か月進まず
・どう銀行を選べばいいのか?
「金利が低い=正解」と思い込んでいる方に向けて、銀行選びで見落としがちな落とし穴と、賢い銀行との付き合い方について実例を交えて解説します。
銀行ごとに違う「審査のモノサシ」
銀行は一見どこも同じように見えますが、融資審査の基準や重視するポイントは驚くほど違います。
- ある銀行は「自己資本比率」を重視
- 別の銀行は「代表者個人の資産や保証能力」を評価
- 地域密着型の信金は「社長の人柄と事業継続性」を最重要視
つまり、同じ企業であっても、どの銀行に申し込むかによって、評価されるポイントが変わるのです。
さらに、銀行内部でも「支店長の判断」「本部のリスク方針」「担当者の経験」などにより、結果は変動します。
【事例】金利に惹かれて都市銀に申請→2か月進まず
建設業を営む中堅企業のケース。設備投資のために1億円の資金が必要になり、最も金利が低かった都市銀行に申し込みをしました。提示金利は1.2%。条件としては魅力的でした。
ところが、提出から2か月が経っても、銀行側の回答は「検討中」のまま。
ヒアリングも断片的で、稟議がなかなか進まない様子。
焦った社長から相談を受けたので、地域の信用金庫を紹介し同じ計画書もっていきました。
すると担当者が現地に足を運び、収益性や返済計画について丁寧にヒアリング。
その3週間後には内諾が下り、1.6%という金利でスムーズに実行されました。
社長からは、「0.4%の金利差よりも、確実に資金が届くことの方が大切。助かりました」
と感謝の言葉をいただきました。
どう銀行を選べばいいのか?「自社に合った金融機関」を選ぶ視点
融資成功のカギは、「自社のステージ」と「銀行の特徴」が合っているかです。
自社の特徴 | 選ぶべき銀行の傾向 |
---|---|
売上1億未満の小規模企業 | 信金・信組など地元密着型 |
設備投資が中心 | 政策金融公庫や商工中金との併用 |
不動産担保を活用したい | 地銀・都銀など担保評価が高い金融機関 |
また、メインバンクを固定せず、複数行と関係性を築いておくことで「選べる立場」になります。
まとめ:銀行選びの本質は“相性とタイミング”
金利は確かに重要な判断材料です。
ただし、「いくら低金利でも、融資が実行されなければ意味がない」というのが現実です。
あなたの会社の現状、将来の投資計画、業種特性。これらを理解し、親身になってくれる金融機関こそ、本当の“パートナー”です。
1社にこだわらず、複数の銀行と柔軟に付き合いながら、自社に最も合った提案をくれる金融機関と組んでいく。それが、長期的に見て最も有利な“金利”と“資金繰り”を引き寄せる近道になります。