こんにちは。ATS会計事務所の田畑敦士です。
2025年5月も、日本の不動産業界に影響を与える重要な経済ニュースがいくつか報じられました。
特に、金利上昇・中古マンション価格の継続上昇・空き家対策の法改正・収益物件の価格変動など、事業戦略に直結する動きが目立っています。
今回は、不動産事業者の皆さまにとって要チェックのニュースを5つ厳選し、実務に活かすための視点と対策を解説します。
1. 住宅ローン金利が上昇、変動型でも0.595%に
ニュース概要:
日銀の政策金利引き上げを受け、三菱UFJ銀行など大手行では変動型住宅ローン金利が年0.595%に上昇しました。
金利上昇局面はローン負担の増加を意味し、購入検討層の動きに影響が出る可能性があります。
📌 実務対策:
- 「いつ買うか?」より「どう借りるか?」を重視した資金提案が重要に
- 固定型ローンとの比較や金利変動のシミュレーションを活用
- 顧客の不安に応える“金利上昇時代の住宅購入”セミナーも有効
2. 中古マンション価格、59カ月連続の上昇に
ニュース概要:
2025年4月の全国中古マンション成約価格は3,992万円(前年同月比+1.78%)、成約単価は61.99万円(+5.59%)と上昇を継続。
一方、中古戸建ては6カ月ぶりに前年割れし、二極化の傾向も見えています。
📌 実務対策:
- 売却サポートでは「高値更新事例」としてデータ活用を
- エリア別・種別別の市場動向を毎月アップデートし、仕入戦略に反映
- 購入者には“価格高騰リスクに備えたローン組み”を提案
3. 改正空家法が施行、管理不全は過料最大50万円
ニュース概要:
2025年5月に改正空家法が施行され、適切な管理がされていない空き家には最大50万円の過料が科される可能性があります。
空き家所有者の責任が明確化され、不動産の流動性にも影響を与えそうです。
📌 実務対策:
- 空き家所有者に「資産リスクの見える化」と選択肢提示(売却、賃貸、管理代行)
- 自治体との連携による空き家再生モデルの構築も差別化に
- 相続物件対応型コンサルティングの強化
4. 収益物件(区分マンション)価格が前月比1.19%下落
ニュース概要:
収益物件市場では、2025年5月時点で区分マンション価格が前月比で下落(2,240万円)。
一方で、利回りは6.61%に上昇し、投資家にとっては“仕込みどき”の兆しも見られます。
📌 実務対策:
- 資産形成層への「高利回り物件特集」の案内で動きを喚起
- 価格調整局面を“買い場”と捉えた提案を用意
- インバウンド投資家向けにも、安定収益性を可視化した資料提供を
5. 東京圏の住宅地、地価上昇率がさらに加速
ニュース概要:
2025年の公示地価によると、東京圏住宅地の上昇率は前年比+4.2%。
東京都区部は+7.9%、特に都心では+11.7%と大きな上昇となっています。地価上昇の流れはまだ続く様相です。
📌 実務対策:
- 地価上昇エリアでの在庫確保と販促強化を推進
- 地価上昇を踏まえた“将来価値を見込んだ購入提案”が有効
- 購入者には「エリア別資産価値MAP」などの資料提供で差別化
【まとめ】5月の市場変化は、“管理・価格・投資判断”の3点がカギ
2025年5月は、不動産業界にとって次のような重要な変化がありました:
- 金利上昇による顧客心理の変化
- 中古マンション価格の上昇継続と価格差の拡大
- 空き家法改正に伴う所有者責任の強化
- 投資用物件市場の価格調整と利回り改善
- 地価の上昇と仕入れ戦略の再構築
日々の営業活動・提案資料・物件評価に、こうしたデータを組み込みながら、「判断材料の提供者」として顧客に選ばれる存在を目指しましょう。
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