数字が苦手な経営者こそ読んでほしい一冊です
「また今回も希望額に届かなかった…」
「何がダメだったのか、正直わからない」
融資のたびに提出資料を工夫しても、銀行の反応はいまひとつ。
営業や仕入れは得意でも、金融機関とのやりとりとなると、不安を感じる——そんな声を、不動産会社を経営されている方から何度となく耳にしてきました。
この感覚、私にもよくわかります。私自身、税理士になる前は、不動産会社の経理担当として資金繰りに追われる日々を経験してきました。
数字の裏にある“見せ方”の違いで、同じ業績でも融資の可否が分かれる現実に何度も直面してきたのです。
だからこそ、今回ご紹介する一冊は、私と同じように「数字に自信がない」「でも経営を安定させたい」と願う方に、ぜひ手に取っていただきたい内容でした。
📘 秋吉博文著『会社を絶対につぶさないための財務健全化』
財務って、結局なにを見せればいいのか?
本書では、単なる会計テクニックではなく「経営判断に活かせる財務の使い方」が語られています。特に、不動産会社のようにキャッシュフローの波が大きい業種にとって、この“資金の見える化”は生命線といえます。
たとえば、こんな事例が印象的でした。
「売上が増えているのに資金が足りない」という悩みを抱えていた経営者が、「PL(損益計算書)ではなく、BS(貸借対照表)の改善」に着手することで、銀行からの評価が上がった。
この話、まさに金融機関の“見方”を押さえていた結果といえます。日々の業務では売上や利益に目が行きがちですが、銀行が重視するのは「資産と負債のバランス」。つまり、「この会社にお金を貸しても安全か」という視点でしか見ていないのです。
数字に強くなくても「見せ方」で評価は変わる
この本では、「決算書のどの数字を、どう見せればよいか」が実例とともに解説されています。
私が特に共感したのは、「過度な節税が資金繰りを悪化させてしまう」という指摘です。
税理士としても耳が痛い話ですが、実際に「利益を少なくして節税する」ことで、銀行評価が下がってしまうケースは後を絶ちません。
融資を受けたいなら、節税よりもまず「資金を回し続ける力=経営体力」を見せることが大切なのです。
この考え方は、不動産経営にもピッタリ当てはまります。売上が一時的に増えても、融資が下りなければ仕入れやリフォーム資金が足りず、ビジネスチャンスを逃すことにもなりかねません。
私自身の気づきとアドバイス
この本を読んであらためて感じたのは、財務は「専門家に任せればいい」ものではなく、経営者が最低限、自分で判断できるようになるべき武器だということ。
もちろん、すべてを理解する必要はありません。大切なのは、「銀行がどこを見ているか」を知り、「そのために今、どの数字を整えるべきか」を把握しておくこと。
イメージで言えば、銀行はあなたの会社に“診断書”を求めているようなものです。その診断書が適切に書かれていれば、信頼してお金を貸してくれるというわけです。
税理士としてアドバイスするとすれば、次の2点だけはぜひ押さえてください。
- 節税よりも黒字経営の継続を重視する
- “借りるため”の決算書づくりを意識する
これだけでも、銀行の評価は大きく変わります。
「自分の会社に足りないもの」を知る第一歩に
数字が苦手でも大丈夫です。この本は、むずかしい専門用語を使わず、実務に寄り添った事例を多く取り上げてくれているため、普段なかなか財務の本を読まない方にもおすすめできます。
時間がない中でも、1日15分ずつ読むだけで、「あ、自分の会社ってこう見えてたのか」と納得できる発見があるはずです。
「次こそは希望額を引き出したい」
「金融機関との交渉をスムーズにしたい」
そう願う方は、まず一歩、自分の財務を「見せる力」に変えるヒントを、この本から得てみてはいかがでしょうか。
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会社を絶対につぶさないための財務健全化
なるほど、と思っていただけたらOKです。
「融資がなぜ通らないのか」——それは、あなたの努力が足りないのではなく、努力の“伝え方”が伝わっていないだけかもしれません。
あなたの会社の可能性を、金融機関にしっかり届けていきましょう。